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2006年1月28日 (土)

メゾン・ド・ヒミコ

飯田橋のギンレイには、2週間に1回のペースで行く。
ここは2本立てだが、自分では選ばないような佳作がかかるので
目下のお気に入りスポットだ。
お昼を持って、ピクニックのつもりで出かける。

今回の2本は「8月のクリスマス」と「メゾン・ド・ヒミコ」

「8月の・・」で、初めて山崎まさよしを知った。
ミュージシャンというのは器用なものである。
「メゾン・・」には、オダギリジョーと柴咲コウというお気に入りが出ている。
ゲイの老人ホームの話で、田中泯がオーナーである。
彼の舞踏家らしい超然とした雰囲気は、
死期の近い、元銀座の誇り高いゲイバーのママにぴったりである。
この人の存在感は「たそがれ清兵衛」でも大きかったが、
両性具有を表現できるという意味では、こちらの方が合っている。
どこか破れているというか、尋常でないものを感じさせない
人間というのは、あんまり魅力がないものだけど、
オダジョーも柴咲も、そういう意味では魅力的である。
すっかりおじいちゃんになってしまった高橋昌也は、相変わらずダンディ。
柳沢真一も出ていたらしいけど、どれがそうだったんだろう。
ゲイのおじいちゃんたちを、大学のゲイサークルの連中が
慰問に行くというのには笑ってしまった。
こういう時代が来るかしらん。来るといいわねえ。

2本の映画から伝わってくるのは、
人間関係のあり方が変化しつつあるなあということ。
情緒べったりの濃密な関係ばかりをよしとするのではなく、淡々とした、
距離のある関係のよさにも、目を向けてみたら?って言っているように見える。
「死」が視野に入ってくると、そうなるのかもしれない。

「8月の・・」で山崎が思いを寄せてくる女性にいまひとつ積極的になれないのは、
いつか別れが来ると知っているからだが、臨時教師の若い女性は、
決して情熱的とはいえなかった彼の振る舞いの中に、
自分への真摯な思いが潜んでいたことを、
後になって知る。
「メゾン・・」が、なんでもない日常をいつくしむように描いていくのも、
ごちごちの中学生の悪がきが
、自分からこの老人ホームに溶け込んでいって、
清清しい様子に変わっていくのも、死を目の前にした人たちの、
抜けの明るさのなせるワザだろう。

異世代交流で、草履つくりやお手玉遊びをするのもいいけど、
「死」が身近な人たちの、達観に触れることも大事にしたい。
こどもたちに必要なのは、自分の生き方を貫いたモデルを
たくさん見せてあげることだろう。
命の大切さって、そういうことで伝わるのだろうと思う。

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2006年1月24日 (火)

雪国からのオファー

雪国へ行ってきた。
「外来小児科」の拙文を読んでくださった先生からオファーをいただいたのだ。
新幹線の自由席の列に並んでいたら、2階席だと分かって「ラッキー!」
と思ったら、全部2階建ての列車だった。
雪国の雪の量は、さすがに半端じゃない。
雪があふれて行き場を探しているっていう感じだ。
先日は久しぶりの都心の雪に、「そんなに降ったら積もっちゃうよー」と
おののいたものだが、そんな雪が、ものも言わずに、ひたすら降っている。
おかげで電車もちゃんと遅れた。
夜、こんな雪の中を受診するっていうのは、夜間救急があったとしても大変だろう。
だとすると、気軽に夜間の受診ができる地域とは、
また違った電話の対応が求められるのだろうか。それとも違わないのだろうか。
雪景色を見ながら、また課題をひとつ与えてもらったような気持ちになる。
小児医療の世界に本格参入(?)してから、いろいろな小児科の先生との
出会いがあるが、いつも何かしら課題をいただいている。

小児科の先生には、いい意味でのこども性を持ち続けている先生が多い。
ネコがいなくなったからって、帰ってくるまで玄関で寝ている先生とか、
妖精がドアを閉めてくれる車に乗っている先生などなど。
雪国の先生は、いかにも元保育パパさんって感じだ。
お仕事への構想力も、こどもが次から次へと考え出す遊びに似たことろがある。
こども性とは、新規性を好むということでもあるのだ。

そこで、「電話診療」と「電話相談」が混同されているという話になった。
ふと、4年前の東日本外来小児科学研究会で、この仕事を
「電話診療アシスタントシステム」と名づけて発表したことを思い出した。
あれが失敗だったかもしれないなあ。
あのとき、データ元の先生と「何か名前をつけたほうがいいよね」という話になって、
この名前を考えたのけど、あのときも2人でちょっと心配はしたのだ。
これって「『電話』による診療アシスタント」って意味だけど、ひょっとして
「『電話診療』のアシスタント」ってとられるかもねって。

言葉って発した側じゃなくて、受け取った側の解釈がすべてというところがあるけど、
どう解釈されるかを見越して発するのは、ホントに至難の技だ。
なにしろ、毎日が異文化コミュニケーションなんだからね。
コミュニケーションって、本来は成り立つほうが奇跡なのだけど、
みんな成り立って当たり前っていう幻想があるから、
テクニックやスキルの習得に躍起になる。
そうじゃないってことを説明するのも、また言葉だからやっかいなのだ。

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2006年1月16日 (月)

お医者さんから自己開示を

小児科開業医の時間外の電話相談をおこなうようになって3年。
内容的には、これまでの仕事と変わらない。

風邪に抗生物質は効かない、下痢のときにはミルクを薄めない、
赤ちゃんには母乳など、基本的な考え方も20年前と同じ。
違うことと言えば、ひとつは相談の範囲が狭いということだろう。
当たり前だが、病気に関することばかりである。
それも発熱がやたらに多い。
こんなに熱を心配する親が多いのは、想定外だった。
つまり熱についての情報が足りない、もしくは行き渡っていないということだろう。
「小児内科」(vol.31no.6)には、同じようなことを「発達」という視点から書いたが、
「発熱とはどういうことなのか」という情報が足りないのだと思う。

一般人にとっての熱のイメージは、たしかにあまりよくない。
まず、いかにも身体が悪者にやられているという感じがする。それも負け戦。
熱が出ている本人は、たいていはぐったりして食欲もなく、
こんこんと眠っていたりするから、がんばって病原菌と戦っている
という感じも、あまりしない。
熱が高いときの心配で典型的なのは、「頭がおかしくなるんじゃないか」
というものだが、
熱が高いと、脳みそがなんとなく鮮度の悪いウニみたいに
なりそうな気になる。

頭がよく働かないときに「アタマがウニ」というあれである。
「脳症」という二文字もひとり歩きしている。
だから、熱が出たら、とにかく受診というわけだ。
でも、実際にはすぐ診断がつかないらしい様子が、電話からも伺える。

熱が高いときの対処法も、充分に行き渡っているとは言えない。
暖めなければと思っているわけではないだろうが、実際には暖めすぎも多い。
ところが、一方でクーリングの指導も受けているから、着ぶくれの状態で、
冷えぴたを貼ったり、脇の下を冷やしたりということになってしまう。
こどもの姿を想像すると気の毒だが、親にしてみれば、
あらゆる知識を総動員しているといったところだろう。
「え、暖めながら冷やしているの?」と訊くと、
「やっぱり変ですよねえ(笑)」という返事が返ってきたりして、結構一緒に笑える。

熱というのはなぜ、何のために出るのかということのほかに、
どんなタイミングで受診するのがいいのか、
医師は、どういう場合に診断に
困るのかという内輪の
話題も、
もっと
マスメディアを通して気楽に語られるといいような気がする。
まずマスメディアで、医師が自己開示するのだ。
同時に、人間の身体のしくみといった基本的な話題を
平易に、しかしポイントをはずさずに語ってもらいたい。
一般論の下地がないと、診療現場で納得してもらうことは難しいからだ。
日常生活で応用できるようになるのは、その次である。

もっとも、だからといって、診療中に解剖図なんか指し示しながら
講義してほしいって言ってるわけじゃない。
クライアントは「勉強」したいからではなく、「納得」したくて受診するのだからね
この辺が勉強好きなお医者さんには、
なかなか分かってもらえないかもしれないけど。

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2006年1月 3日 (火)

やっとホームページが完成しました

たくさんの方からのご要望におこたえして、やっとホームページが完成しました。

心強い味方に助けていただき、感謝感謝です。

電話相談という仕事価値や楽しさを理解してくれる人が、

少しでも多くなればと思いながら作成しました。

電話相談は問題解決のためのシステムであると同時に、

生活者の声を収集するシステムでもありますが、

それを社会に還元していくシステムは、まだ構築できていません。

これまでマスメディアを通じて、さまざまな声を

広く発信するところまではしてきましたが、それが精一杯でした。

時間外の電話相談は、クライアントである小児科医に声をフィードバックします。

医師という、制度を背負う側であり、同時に社会でもっとも発言力のある人たちの

豊かな感性に、私は希望をつなぎたいと思っています。

いわば橋渡し。あるいは翻訳者として。

このページには、相談に入る声から

心に浮かんだことなどを、書きとめていこうと思います。

声にならない小さな声、沈黙という声に

耳をすませていきたいなあと思っています。

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