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2010年7月 6日 (火)

医療対象を拡大しない法

土日はディペックスの合宿定例会議兼勉強会に参加する。
場所は逗子。駅に降りると爽やかな風が心地よい。

お昼はどこかで魚料理が食べたいなと探してみるが、
駅の周辺は意外とないみたいで、なかなか適当な店が見つからない。
京浜急行の踏み切りを渡ったところに、マクロビオティっクと
書いた看板が見えたので、そこに入ることにする。
蕎麦屋でもあり、飲み屋でもあるような作りだ。
すでに12時を回っているが、戸を開けたらお客が一人もいない。
一瞬足が止まったが、玄米定食を食べようと決めていたのでそのまま入る。
給仕のおばさんが、こちらの戸惑いを感じて、努めて愛想良く接してくれる。
テレビはNHKの昼番組で仁鶴が出ている。
この時間のNHKは見たことがないので、なんだかものめずらしい。
でも、コロッケ、ひじき、きんぴら、酢の物などの玄米定食は
薄味だったが結構おいしかった。

待ち合わせ時刻に駅に戻り、
途中みんなで「マーロウ」のプリンを買い、今夜の宿の松汀園へ。
すぐに会議室へ移動し、会議を始める。
おやつは、そのプリンだったが、大きすぎて持て余す。
どう考えても200mlはデカすぎ。せいぜい100mlがいいところだ。
定例会議はもっぱらニュースレターの話に費やす。

あっという間に夕食の時間になり、食堂から催促の電話。
夕食は和風フレンチで、なかなかおいしい。握り寿司もついている。
プリンが大きすぎたので、食べられないかと思ったがほぼ完食。
でも、さすがにデザート(小さいムースみたいだったが)には手が出なかった。

夕食後は先にお風呂に入ることにして、8時半から勉強会兼宴会再開。
テーマは「メディカリゼーション」。
近年、高血圧の薬の売り上げが増大しているのは、
何を意味しているかという話から入る。
ディペックスの前立腺がんの患者の語りでは、
PSA検査を受けたという話が沢山出てくるが、
ビデオを編集している隈本先生は、ディペックスが
この検査にしたがって治療することを勧めていると
誤解されるのではと懸念している。
患者の語りは、現在生きている者にしか語れない、
という点でバイアスがかかっているのだが、
そのことはなかなか表面には出ないし、だから理解されにくい。

日本人は、新聞やテレビ、インターネットなどのメディアから
提供される情報を、正しい情報と考える傾向があるといわれる。
ひと頃、医師を取り込むことで市場を拡大して製薬会社は、
近年は患者会を通して市場拡大に動いている。
そういう時代であることを、私たちは強く意識しておく必要がある。
患者の語りは、あくまで個人の体験(事実)に過ぎないのだが
時代の流れは、それを真実だと思わせてしまう可能性があるということだ。
語りのデータベースを読みこなすのもワザが必要なのだろう。

勉強会は次第に盛り上がり、どうやってもっとDBを知ってもらうか
どうやって活動資金を稼ぐか、という話から、
EBMやガイドラインが万能を捉えられがちな、このご時世に、
どのように語りというNBMを対置させるか、という方向に展開する。
途中メチャクチャ眠たい時間を通り過ぎて、終了は午前2時。
何とか観戦をと目論んでいたアルゼンチン×ドイツ戦は、結果も分からず
布団に入ったらあっという間に寝ついてしまった。

翌日は、さくま事務長宅へ場所を移して続き。
群馬の木村先生がサイモン・シンの『代替医療のトリック』をネタに
ホメオパシーの評価のあいまいさをプレゼン。
彼は、これをメディアカリゼーション(医療対象の拡大)の問題に
結びつけようと考えていたみたいだが、議論は思わぬ方向に進む。
ホメオパシーがプラセボ効果しかない、という事実は
むしろ医療の効果とは何かが明確になっていない、ということであり
それはホメオパシーのインチキ性にはつながらない、という流れになっていく。
このあたりが、医療者も多いとはいえ、
社会学系、人文系、患者などのメンバーも含まれている、
ディペックスという集団の面白いところだろう。
多様性が担保されることによって、医療者の常識が覆されていく。
これはメディカリゼーションを解くカギでもあるだろう。
医療崩壊を避けるためには、まずメディカリゼーションを阻止する
ことを考えたらどうかと思うが、そのカギは多様性の担保にあって
チーム医療や、連携は、それには沿っているといえる。
もちろん電話相談の導入も然りである。

木村先生の話から見えてきたことは、
現在のリハビリの効果測定は、医学モデルでしかおこなわれておらず
実は、それは不適当な評価方法であること、その解決には、
リハビリという分野が、医学と生活の両方にまたがっていることを明らかにして、
自らが評価基準を作るしかないのでは?ということで、しかしそれが
なかなか難しいことが、理学療法が専門の木村先生の悩みだということであった。
リハビリの効果測定は、ヨーロッパとアメリカでは目指すものが異なっており、
当然のことながら、それは文化差によっている。
であれば、日本独自の基準があってもいいはずだが、
西洋医学を基本に据えている日本の医療界では、
そこから抜け出して、創造的であろうとすることが難しいらしいのである。
医療界の中の階級(ヒエラルキー)というのも関係しているのだろう。

何かを評価するときには、誰のために、何を目標とするか、
という視点が欠かせない。
どういうものさしを持ってくるかで、ホメオパシーも単なるインチキではなくなる。
今回の勉強会は、ものさしの重要性を考えさせてくれた、という意味では
小児救急電話相談の評価基準を作成しようとしている私にとっても、
示唆に富んでおり、なかなか実りが多かった。
小児救急電話相談は、メディカリゼーションとは対極にある(はずだ)が
これを分かってやっている相談員は、果たしてどれだけいるだろうか。
電話相談は、まさに不確実性そのままの世界であり、
それは医療そのものでもある。
でも、医療の確実さだけを学んできた人たちには、
そこはなかなか理解できない。
電話相談をおこなう人には、まずそういう自覚を持ってもらう必要があるのかも。

ERテレフォンクリニックウェブサイト: http://homepage2.nifty.com/er-telclinic

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コメント

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投稿: LynnetteBray21 | 2010年7月11日 (日) 09時20分

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