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2011年4月 4日 (月)

ぬるま湯から飛び出したいカエル

今回の地震は、世界がつながっていることを強く感じさせてくれた。
仮に震源が日本近海であっても、地震そのものは
日本だけで完結しているわけではなく、
まして津波ともなれば、地球の反対側にも大きな影響を与える。

地震と津波の被害が報道されてから入ってきた各国からの
援助や励ましの声は、日本という国がふだんニュースで言われているほど
存在感がないわけでも、世界からバカにされているわけでも
ない(らしい)ことを教えてくれた。
メディアは何かにつけて、経済も政治も二流とか三流と言い続けてきたが
よその国の人たちは、案外そんな風には見ていないのかもしれない。
同時に起こったことの大きさについても、他国によって知らされたという感じがする。
テレビで繰り返し映される津波の映像に呆然としている自分がおり
世界からの働きかけによって我に返っている、というところかもしれない。

さらに原発事故によって、いやでも世界はつながっていることを痛感させられた。
地続きでなくても放射性物質は空中を飛散し、他国にも影響を及ぼす。
アメリカやフランス、ドイツが間髪を置かず援助の手を差し伸べてきたのは
放射能の危険性を最小限にとどめようとする合理性に裏打ちされているからだ。

地震の直後に円が急騰したのが不思議だったが
これは後になって円を買い戻すことを見越した
円買いの影響だったと知って、金融界の嗅覚の鋭さに驚いたものだ。
地震によって受けた経済的な打撃を回復するためには
元気な地域が活発な経済活動をしなければならない、
というのも、ほんとかどうかはともかく、いかにも世界のつながりを感じさせる。
福岡とか大阪などはふだんと全く変わらない元気さらしいが
関東近辺は、いや少なくとも自分は、石原さんなどに言われなくたって、
なかなか出歩く気分にはなれないものだ。
ひとつには、一旦出たら帰ってこれないかも、
という不安が、まだ若干残っているからかもしれない。
もうひとつは、東北の復旧の遅さや
東電の原発に対する対処のしかたを見ていると、
現地で頑張っている人たちの努力はともかくとして、日本全体が、
何かぬるま湯のなかで茹でかかったカエルみたいに見えてしまうからだ。

石原さんの「自粛」要請に腹が立つのは、
それがカエルの発想から一歩も出ていないからだと思う。
彼が考えなければならないのは、どうやったらみんなが元気になれるか
ってことなのに、それを示せないのは彼も半分茹ってしまっているからだろう。

でも未曽有の災害のおかげで、いろいろな機関が、
いろいろと考え始めており、原発に絡んだエネルギー問題の提言も出始めている。
ふだんはなかなかお目にかかれない情報が手軽に入手できるのは
非常時の効用といってもいいかもしれない。

「無計画停電」から「戦略的エネルギーシフト」へ
http://www.isep.or.jp/images/press/ISEP_Strategy110323.pdf
は計画停電を実感した者として面白く読んだ。

「持続可能な社会をどう構想するか」鼎談pdfも面白い。
https://sites.google.com/site/structuralconstructivism/home/download
無料でダウンロードできるサイトの説明には

このたびの東日本大震災からの復興を原理的に考察し、
実質化するために、北大路書房の全面協力のもと、
学際誌『構造構成主義研究』4号特集
「持続可能な社会をどう構想するか」の無料ダウンロードができるようになりました。
昨年公刊された4号の特集では、池田清彦、竹田青嗣、西條剛央が
エネルギー問題、環境問題、経済問題、労働問題について徹底討議し、
東日本大震災後の日本の方向性を考えるうえでヒントになる考え方が提案されています。
今後のよりよい社会のあり方を考えるうえで参考になるようであれば幸いです。
なお、元のファイルはgooglesiteの仕様上大きすぎたため、アップロードに際して分割しております。
お手数をおかけしますがご了承ください。

とある。
太陽光発電じゃなくて太陽熱発電にした方がいい、とか
エネルギー問題と人口問題を同時に解決していく必要があり
そのために、どうやって世界各国が共通の価値認識を醸成していくか、
など興味深い議論が展開されている。
放射性物質は空を越えて飛んでいくが、
地球そのものは閉鎖系社会になりつつあるみたいだ。

ERテレフォンクリニックウェブサイト: http://homepage2.nifty.com/er-telclinic

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コメント

石原慎太郎の発言に関してはフリーライターの赤城智弘氏が考察しています。

【赤木智弘の眼光紙背】ニセ節電には騙されないぞ
http://news.livedoor.com/article/detail/5451394/?p=1

思いつきでおかしなことを言うのは政治家という人種にはよくあることですが、この人はそれに加えて自分の道徳観を押しつけようとしているとの考察です。
そう考えるとこれまでの発言が納得できますね。

「反原発・脱原発を唱える人は代替エネルギーを使い始めてますか? それとも電気に依存しない生活にシフトしていますか?」
と問いかけてみたいです。
「火力発電所を増やせ」では絶対だめですし、太陽光発電や風力発電の発電効率やコストパフォーマンスを分かったいない人が唱えても仕方がありませんよね。

そういった意味で発言に責任を持つためには電力大量消費社会というぬるま湯から出る勇気が必要なことは確かですね。

投稿: nucky | 2011年4月 6日 (水) 15時53分

政治家がどのくらい斬新なことを考えているか
なかなか伝わってこないのは、
当の政治家さんたちに発想がないのか
それともマスメディアの問題意識が希薄
なのか、どっちなのかなあと
考えたりしています。
ともかく、まずは巷の英知を自分たちの手で
流通させることですよね。
そこから何かが生まれてくるかも。

投稿: pinoko | 2011年4月 7日 (木) 02時55分

ご無沙汰しています。
ご指摘の通り、日本のマスメディアにはいくつも問題がありますね。
今回の地震では、海外メディアが日本人の勇気や精神を讃えるものもあり、わたしたちは大いに励まされました。ただ、欧米の「高級」「一流」メディアの特派員の中には、「日本沈没!」「カタストロフ!」「東京から脱出せよ」などの記事を書きながら、われ先に日本から脱出する人も残念ながらおられました。
メディアのビジネスは、洋の東西を問わず「good news」よりも「bad news」のほうが儲かるということですね。政治家の発言も過激なほうが大きく採りあげられるというのと似ているような気がしました。
冷静で理性的な議論というのは、なかなかに難しいものですね。
pinokoさんのせっかくの記事に対して、ストレートなコメントにならず、すみません。

投稿: ハタ | 2011年4月 7日 (木) 08時19分

ハタさま

ご無沙汰しております!
ハタさんの声がなかなか聞こえてこないので
ご無事かしらと、ちょっと心配して
おりました。

>メディアのビジネスは、洋の東西を問わず「good news」よりも「bad news」のほうが儲かるということですね

「この機に乗じて」って感じが、
どうしてもつきまといますね。
何事も両面があるということなんでしょう。

今回の震災については、コミュニティ論とか
メディア論などの観点から、ハタさんの
ご意見を伺いたいことが沢山あります。
ブログ、日記ともに楽しみにしています!

投稿: pinoko | 2011年4月 7日 (木) 08時41分

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