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2011年8月21日 (日)

最後の決め手は?

夫の実家から古い桐箪笥をもらうことになった。
義母のものだから、買ってから80年くらいは経っているはずである。
これがどの程度の状態なのか、素人には判断しにくいが、
まずは、ネットで再生・修理をしてくれるところを探してみることにした。
なんとなくフィットしそうなところを選び相見積を取ることにする。
出会いのチャンスを提供してくれる、という意味で、
もはやネットは生活に欠かせないツールである。

ネットでの決め手は、まずはホームページの印象だ。
情報という観点から、こちらが知りたいこと、たとえば
修理の工程とか出来上がりの状態、引き渡しの方法、そして費用などが、
コンパクトにまとめられているというのは最低条件である。
もちろん、ホームページから受けるセンスというのも大きい。
これはまあ、相性のようなものだが、案外大きな決め手でもある。
どんな人がやってくれるのか、というのも一応参考にする。
信頼できそうかどうかを顔で見る、という意味では顔は大きな情報源でもある。
結局、年配の職人さんの顔写真が出ているところと
この仕事が好きで独立したという、まだ若い(といっても40代だろうが)人
の、これも写真が載っているところ、そして、
顔写真はないが、ネットで見積もりをしてもらえるところの3軒を選んだ。

今や見積もりもネットでできるのだなあと思いつつ、
そこへ写真を添付して送る。ネットだと1割引きになるらしい。
実際に見る手間が省けるということなのだろう。

ネットでの見積もりが設定されていないところへは電話をかける。
まずは年配の職人のところ。
他県にある夫の実家まで、どのように見積もりをしにいってくれるのか
その場合の費用はどうなるのかを聞く。
電話に出たのは70代~80代の男性で、職人さんかもしれない。
他県へ見積もりをしに出向くというところに
費用がかかっているような印象があり、結構高い。
ネットでも見積もりをしてくれるならメールアドレスを教えて
というと、すぐにアドレスが出てこない。
FAXで送られてきたアドレスへ写真を添付して送るのと並行して、
引っ越し便でこちらに箪笥を送ってもらう手筈を整えたところへ、
写真を見ての電話がかかってくる。
「いい箪笥なので修理するととてもよくなる」というのは
セールストークだろうが、わざわざ他県へ行かなくても済むように
手配したという話を伝えてもあまり金額が変わらない。
もう1軒と比較すると10万の差がある。

もう1軒の若い職人がやっているM桐工芸というところも
ネットの見積もりシステムがないので電話をかける。
小規模なところみたいで、すぐにはつながらず折り返し電話が来る。
写真ではなく実際に見て見積もるというので、来てもらう日を設定する。

そして箪笥が届いたその日に、M桐工芸の責任者がやってきた。
実際に見てくれて、程度はそんなに悪くないこと、
小引き出しの無くなっている鍵穴の金属は引き戸のものを流用して、
引き戸の鍵穴はなくすことなどを提案してくれる。
昔の箪笥にはやたらと鍵が多いというのは発見だった。
引き出し全部に鍵がついているのである。
きっと玄関の鍵が甘い分、家具で食い止めようという発想なのだろう。
箪笥貯金というのは、ただ貯めておくというわけではなく
一応銀行に期待するような防犯意識もあったのかもしれない。
いろいろな話をしているうちに、K君という息子の仲良しのお父さんが
彼が以前勤めていた会社の同僚だったと判明する。
K君の家へは、今でもよく遊びに来るとのこと。
なんとなく土地勘がありそうな話しぶりだったのは、
そのせいだったのだと分かる。世間は狭い。

見積金額は、最初のネット見積もり社とほぼ同額だったが、
実際に見てもらって、いろいろ提案してもらい、
さらには近所の仲良しと近い関係ということもあって
結局、そのM桐工芸というところに依頼することに決める。
年配職人の会社からは、何回か留守番電話が入っており、
最終的に5万の差まで縮まっていたが、
こちらのニーズが理解されていない感じがネックになった。

ネット時代は、商売人にとっては広く網を仕掛けて
多くの顧客を得るという点で、消費者にとっては、
出会いの機会をより広く得られるという点がメリットだが
フットワークと提案力が決め手になるという点では
商売の本質は、あまり変わっていないともいえそうだ。
ただ出会いの機会が増えた分、小さな事業者にもチャンスが巡ってくる
可能性が高くなったということは言えるだろう。
ネットという双方向システムは、規模だけでなく、
センスや顧客との相性がダイレクトに確認できるという利点がある。
そこをうまく生かせるかどうかが分かれ目なのだろうが、
双方向に慣れていなかったり、双方向の生かし方が違ったりすると
思うような成果につながらない、ということかもしれない。

ERテレフォンクリニックウェブサイト: http://homepage2.nifty.com/er-telclinic

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