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2012年7月17日 (火)

新しい風は吹いたか

15、16日と小倉の北九州国際会議場で
第一回「小児診療多職種研究会」
~新しい風にのってみませんか?~のスタートアップがあり、
オープニングの日に演題を出すようにを要請されていたので出向いた。
会を立ち上げたのは、倉重弘先生という北九州で開業していらっしゃる
ひとりの小児科開業医で、#8000の研究班でご一緒していたときには
雰囲気からして、そんなにエネルギッシュな感じは受けなかったのに、
あるときから急に研究班に来られなくなったと思ったら、
作業療法協会、臨床心理士会、言語聴覚士会、薬剤師会、
そして小児科医会などの後援を取り付けて、
今回の開会までこぎつけられたのである。

研究会とはいっても、ほとんど学会のような規模の会が、
こんな風に始まるというのも私にとっては目新しかったが、
参加してみると、運営もよく行き届いていて統制されており、
その実行力にも驚いてしまった。

私の演題は
休日・夜間小児電話相談事業『最強の味方を育てるフィードバックシステム』
というもので、

診療と電話相談では担当領域が異なっており、それは
患者(保護者)にとってはアウェイとホームというほどの違いがあり
ホームのニーズはアウェイのニーズと異なること、
医療者が「一般論としての病気の専門家」だとすると
保護者は「自分についての専門家」であり、
医療は両者の協同が必要なこと、
そういう「自分についての専門家」の声を、
どう診療や育児支援に生かしたらいいのか
ということを、相談事例を例に挙げて論じた。

自分にとってはこういう内容は、ごくごく基本的なことで
新しい風でもなんでもないという気もするが、
ひょっとすると、新しいと感じてくれる人もいるかもしれないし、
人によっては新しすぎてついていけない、かもしれない。
でも、話したいことをまとめる過程で、どうやって電話相談を理解してもらうか、
と考えることができたのは成果だった。

#8000の研究班でも、
今年の4月から委員になった
小児救急の社会的サポートを考える委員会でも、
私の仕事は、まだまだ異分子扱いだが、
異分子の孤独というのも慣れてしまえば、まあ快適である。
いかにも厳しい環境で自分が鍛えられている、という感じがする。
こういうのがなければ人間伸びて行かないのだろう、きっと。

今回の会での演題を聞いていると
それぞれの専門領域からの発表は、それぞれの文化を背負っていて
それが私の分野に近い感じがするものもある。

かと思えば

昔は問題にされなかったようなことが
医学(専門知識の増加)や科学(技術)の進歩などで
問題と捉えられて、それが吟味された結果、問題ではなくなる、
というような迂回路を辿った形跡もあり、
歴史が変わるということは必ずしも効率的になるとは限らず
じゃあ、これで賢くなったのかと言われれば、
そうともいえない感じもあり、なんだか妙な感じではある。

演題の内容に虐待関連が多かったのは、
小児科領域で、今もっとも注目されている分野だからかもしれないが
医師の視点は、虐待事例を明らかにすることには長けていても
虐待を防止するということになると、「親の資質の変化」を嘆いてみせる
というところに留まっている感じがして、
因果論から抜け出して、中身のある連携へ至るまでには
まだ相当の時間がかかりそうな気もする。
そもそも連携というのは、主従関係のない横のつながりのはずだから
一番慣れるのが難しいのは医師だろうし、
病院と開業医とでは、また事情がいろいろ違うだろう。
これからどういう風に発展していくのか、楽しみではある。

飛行機の時間が迫っていたので、2日目は昼まで聞いて帰路に着いたが
昼からいきなりの豪雨で、カミナリは鳴るわ、飛行機は遅れるわと
ちょっとやきもきさせられたが、小倉のリーガロイヤルは快適だったので
旅としては、まあよかったことにしておこう。

ERテレフォンクリニックウェブサイト: http://homepage2.nifty.com/er-telclinic


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